日本は1次リーグD組の最終戦(8日午後8時キックオフ)で、アルゼンチンに27対39で敗れ2大会連続の8強入りが出来ませんでした。前半は互角なるも後半にフィジカル(優れた身体能力)の差が明確となり、決勝トーナメント進出はなりませんでした。悔しい敗戦の中で光ったプレーがありました。5点差の後半15分、レメキ・ロマノ・ラバが敵陣内でアドバンテージを受けた状態からパスを受けると、右足を一閃(いっせん)。約40メートルの距離から芸術的なドロップゴールを決めて、一時2点差に迫ったのは感動的でした。そして「仲間を信じて一つになって戦うワンチーム(ONE TEAM)」の精神は見習いたいものです。
お疲れ様でした!ニッポン!
アルゼンチン戦のフォワード 名キッカーの松田力也 レメキのドロップゴール
ラグビーの蘊蓄
ラグビーは「職業としてではなく、崇高な精神=アマチュア主義の下に行われるべき純粋なスポーツ」という考え方があります。そして「紳士のスポーツ」とよばれるのは、ラグビーが誇る紳士的な姿勢や精神が守られてきたことに所以します。ラグビーは「心技体」のうち、心が重要なスポーツと言われます。どんなに大きな相手に対しても、怯まずにタックルに行かなくてならない。筆者はラグビーが精神力・チームワーク・戦術眼を強力な武器に、困難なプロジェクトに立ち向かうチャレンジ精神やチームプレーを大切にするところが大好きです。
アマチュア時代、日本代表の試合は無報酬でした。現在日本代表の日当は100ドル(1万円強)です。日本には多くの社会人選手(パナソニック・トヨタ・東芝・ドコモ・NEC・サントリー・神戸製鋼・キャノン・HONDA等々)と一部プロ選手が混在しますが、1億円の収入を得る選手は無く、野球・サッカーの10分の1程度です。ラグビーワールドカップ大会の経済効果は前回2019年日本大会で6464億円とも言われ、全国的に盛り上がりをみせています。今回決勝戦は10月29日。前回大会の決勝戦は全世界で約1億2000万人が視聴したと云われます。
ラグビーワールドカップの賞金はいくらかというと・・・答えはゼロ円です。これは1987年に第1回ラグビーワールドカップが始まって以来、一貫しているポリシー。優勝賞金は伝統的に「0円」なのです。その理由はラグビーが紳士のスポーツだから。優勝することで富を得ようという姿勢は紳士らしくないという理由で、その代わりに選手たちのモチベーションとなっているのは、大会に出場することが最大の栄誉という思想。その意味では同じ世界3大スポーツ大会の中でもオリンピックに近いと言えます。優勝したチームの選手たちに金メダルが与えられるのも同じ。また優勝カップの「ウェブ・エリス・カップ」の台座には歴代優勝チーム名が刻印されますが、これこそが最高の名誉であり、全世界のラグビー選手にとって最大の目標だと言われています。